RoboMec2006 Workshop 

第2回 地域交流ワークショップ:「地域の課題への挑戦」

 [2006.06.01更新] 報告を追加いたしました. 


INDEX:  ご報告 概要   プログラム(案) 発表者の方へ 懇親会 発 表募集[終了] 企画メモ

ご報告:new

皆さまのご協力のおかげで,28名の参加者を集めて盛況にワークショップを開催できましたことを御礼申し上げます.特に荒井裕彦氏の特別講演がとても好評で,日頃のうやむやがすっきりしたという感想を多くいただきました.

発表時間と同じだけ質疑応答時間を確保して,工夫や本音を聞きだそうとする双方向の情報交換を重視した試みでしたが,発表時間が延びがちで時間に追われてしまったことをお詫びいたします.また,それぞれの発表に対するコメントをいただくアンケートを実施したところ16名(57%) から回答をいただけました.本音の議論を受けて「お金を使って研究開発しているという真剣さが不足しているように感じられました」という真摯なご意見もご ざいましたが,単に一方的に発表するだけでなく聴衆からのコメントをフィードバックできる非常にインタラクティブな試みになったと思います.

最後に,会場を提供いただいたRoboMec2006実行委員会の皆さまに感謝いたします.
オーガナイザ一同

最優秀プレゼンテーション賞: 岐阜県セラミック研究所 横山貴広
Best presentation award 開始5分前に募った発表者を含む14名のボランティアによる相対評価により,興味深い話題を提供し,議論を盛り上げた最も優秀な研究発表として,岐阜県セラミック研究所の横山貴広氏に最優秀プレゼンテーション賞が贈られました.

相田収平(新潟県)氏と朴忠植(大阪府)氏を含めた3名が高い評価を得ており,皆さんを表彰させていただきたかったのですが,僅差で岐阜県の横山貴広氏お一人を最優秀プレゼンテーション賞として表彰させていただきました.

表彰委員長 神徳徹雄(産総研)


概要: 

全国から集まるロボメカ研究者・技術者の相互交流の機会を生かして、情報交換や議論を行いたいと思います。2部構成とし、第1部は「地域の産業・生活を支 援するメカトロニクス」、第2部は「一次産業を支援するメカトロニクス」として、各地域の産業のニーズ、およびそれらのニーズに基づくメカトロニクス研究 について、苦労している泥臭いところ、工夫しているところなどを成功、失敗にとらわれず発表していただきます。また、特別講演として「学術的ロボット研究 の問題点について」と題して(独)産業技術総合研究所の荒井裕彦氏に講演していただきます。
共催:
産 業技術連携推進会議 機 械・金属部会 メカトロニクス 研究会
日時:
2006年5月26日(金) 13:00~17:00  (終了後、会場の近くで懇親会を予定)
場所:
早稲田大学 理工学部 大久保キャンパス 55号館
〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
http://www.rt-coe.waseda.ac.jp/robomec06/hall_j.htm
http://www.sci.waseda.ac.jp/campus-map/
参加費用:
無 料企画  (ロボティクス・メカトロニ クス講演会2006の参加申込が必要です)
オーガナイザ(氏名,所属):
藤原基芳、三重県科学技術振興センター
毛利謙作、高知県工業技術センター
阿部顕一、神奈川県産業技術総合研究所
辻善夫、岡山県工業技術センター
濱田敏弘、香川県産業技術センター
稲葉昭夫、岐阜県生産情報研究所
神徳徹雄、産業技術総合研究所 

プログラム(案): 

13:00-13:05 開会挨拶 藤原基芳(オーガナイザ代表)
13:05-14:45 第1部 ディスカッション
14:45-15:00 休憩(名刺交換など)
15:00-16:20 第2部 ディスカッション
16:20-16:50 特別講演
16:50-17:00 総合討議(と表彰)

第1部『地域の産業・生活を支援するメカトロニクス』  司会 藤原基芳(三重県)

話題提供1:
「雪 国の生活を支援する自律運行型除雪ロボットの研究開発」
大 野宏 (新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター)
新潟県などの日本海側の地域は、冬季の除雪作業が大変なため、自律運行型除雪ロボットを開発した。このロボットは、ある決められた範囲を各種センサを使っ て自律的に走行し、雪をロボット内部に取り込み圧縮・減容しブロック状にして所定の位置に排出する。100m(superscript: 2 )の駐車場に10cmの積雪があった場合、約1時間で除雪が行えた。
(参考資料) http://www.iri.pref.niigata.jp/jigyou_01/2005/H17RP_JR.html
話題提供2:
「マ グネシウム合金の逐次成形技術とロボット筐体の製作事例」
相 田収平 (新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター)
本研究では、金属板に対して型を必要としないフレキシブルな成形法である、逐次張出し成形法について、実用金属中最軽量で、リサイクル性にも富むマグネシ ウム合金への適用を試みた。その結果、材料の温度が523K以上で逐次成形が可能であることを確認した。また、除雪ロボットの筐体(カバー)製作へ本成形 法を適用し、マグネシウム合金製筐体の製作を試みた結果、従来のFRP製筐体重量に対して約1/3に抑えることができ、ロボットの軽量化に貢献できた。
(参考資料) http://www.iri.pref.niigata.jp/jigyou_01/2004/summ_s02.html
話題提供3:
「手袋製作のための手の立体計測装置の開発」
濱田敏弘 (香川県産業技術センター システム応用技術部)
手袋製造業は香川県の東部を代表する地場産業であるが,近年では生産量の減少傾向が続いている.これを打開するための取り組みの1つとして利用者の手に フィットするオーダーメード手袋の製作が検討されている.そこで,簡単に人の手の様々な部位を自動的に計測する立体計測装置を開発した.
本報告では,主に3次元計測方法と,手の各部位を自動的に測定するための方法について報告する.
(参考資料)
話題提供4:
陶磁器用筆加飾ロボッ トの高機能化研究
横山貴広 (岐阜県セラミックス研究所 技術支 援部)
陶磁器産業は県内の東濃地方を中心とする地場産業である。
近年、産業全体が低迷する中で、産業の継続や発展のためには製品の 高付加価値化やオリジ ナルな製品の創出が求められる。そこで陶磁器の絵付けに特化した毛筆による手描き技法を保存し、ロボットアームで再現するシステムを 開発した。
(参考資料)
話題提供5:
「歩行器用段差乗り越え機構の研究」
朴忠植 大阪府立産業技術総合研究所 情報電子部)
シルバーカーなどの4輪式歩行器の前輪の代わりに装着することで容易に段差乗越えを可能とする機構を開発した。また、段差計測および機構動作制御により衝 撃の少ない段差乗越えを実現可能とした。さらに、加速度センサを用いて衝撃の定量的評価を試み、有効性を確認した。発表では機構の動作原理、開発した機 構、計測制御システムの詳細および評価実験による結果について説明する。
(参考資料)

第2部『一次産業を支援するメカトロニクス』  司会 濱田敏弘(香川県)

話題提供6:
「魚 用ICタグ大量装着機の開発」
田 口喜祥 (長崎県工業技術センター
食品の安全・安心への関心の高まりから近年食物のトレーサビリティーを確保するために色々な技術が開発されている。その一つとして、対象物にICタグを取 り付けて管理する手法が提案されている。本研究では、長崎県の主要産業の一つである水産業支援のために、養殖魚などにICタグをとりつけトレーサビリ ティーを確保する事を目的として、個別の魚にICタグを大量に装着する装置を開発したので報告する。
(参考資料)
話題提供7:
「能 登栗の皮むき省力化機器の開発」
嶺蔭士朗 (石川県工業試験場 機械金属部)
能登地区におけるむき栗の安定供給体制を確立するため,人手による栗の皮むき作業の省力化を可能にする鬼皮むき機を開発した。まず,ノコ刃を取り付けた回 転テーブルを用いた機械的手法を基本にして効率的に鬼皮を除去できる新しい機構を考案した。さらに,その機構を備えた試作機を製作し,フィールドテストに よりこの機械の性能を評価した。その結果,この開発した機械が省力化のために役立ち,むき栗の生産性の向上に対して高い実用性を有することを確認した。
(参考資料) http://www.irii.go.jp/theme/2005/study08.htm
話題提供8:
「水 稲の有機栽培を支援するロボット移動機構の開発」
光 井輝彰 (岐阜県生産情報研究所 ロボット部)
本研究では中山間地での水稲栽培において、ロボットが圃場内を走行することによる除草効果等に着目した有機栽培法を提案している。本報告ではこれの中核を なすアイガモロボットの開発について報告する。
(参考資料) 
話題提供9:
「マイコン制御回路の開発による野菜袋詰め機のローコスト化」
毛利謙作 (高知県工業技術センター 生産技術部)
輸入増により野菜価格が下落傾向のため、各種農業機械もローコスト化が強く求められている。株式会社太陽の野菜袋詰め機は、2002年に高知県地場産業大 賞を受賞した製品であるが、制御はシンプルで特に高速の計算を必要としないため、ローコスト化を目的とし、シーケンサに代わるマイコン制御回路を開発し た。
高知県メカトロ技術研究会で行った農家のニーズ調査、このテーマの立案、予算獲得、研究実施までの経緯、制御回路の概要、開発環境、動作試験について報告する。
(参考資料) http://www.kenjin.ne.jp/mechatro2006/mechatro25.htm

特別講演:

「ロ ボット研究の問題点
荒 井裕彦 (産業技術総合研究所 知能システム研究部門)
ロボット工学における産学の乖離の原因となる,学術的なロボット研究の問題点について,具体的な事例に基づいて考察し,研究の前提となる研究目的の虚構性 ということを指摘する.また,現在のロボット研究の方向性を支配する,「製造業分野を脱却して極限作業・人間共存などの非製造業分野に進出することによ り,ロボットの市場は飛躍的に拡大する」という説について,その成立過程にさかのぼって疑問を呈する.
(参考資料) http://staff.aist.go.jp/h.arai/robotics/jra03.html

発表者の方へ:

自己満足的な成果だけを報告する学術的な発表会ではなく、ニーズや苦労している点に主眼をおいた研究会です.北は新潟から南は高知の地方公設試職員に、各地域の産業のニーズ、ニーズに基づくメカトロニクス研究について、苦労している泥臭いところ、工夫しているところなどを成功、失敗にとらわれず発表していただきます。
質疑応答の際には「自分のところではこのようにしている」といった情報交換をお願いいたします.

また、26日(金)18:00より懇親会を開きますのでそちらへの参加も大歓迎です。参加希望者は前々日の5月24日(水)までにmechatronics-sewanin@m.aist.go.jp までご連絡ください。

懇親会について

居酒屋 酒洛(しゃら)弐番所において,18:00から開催予定です.
参加希望者は前日朝までに世話人( mechatronics-sewanin@m.aist.go.jp )まで連絡ください.
http://www.babaoh.com/izakaya/syara2.html

現在までの参加表明者(申込順):
以上11名.

発表募集: (終了)

本ワークショップでの発表を募集します。
内容:
メカトロニクス、生産情報技術に関するもので、かつ「地場産業」、または「中小企業」、または「地域固有のもの(例:北海道や 東北地方の雪対策、名産品、地方自治体の政策)」に関するものなら失敗事例でも結構です。具体的なニーズ、技術的な問題点の提起、開発 した技術 の紹介を歓迎致します。
発表時間:
質疑応答を含めて20分程度を予定しています。発表件数によって変更の可能性もあります。
発表資料:
無 料企 画の経費節減のため発表概要集を配布いたしません。配布資料(自由形式)がございましたら発表者側で40部程度用意して当日配布いただければ幸いです。あ らかじめ配 布資料のpdfファイルを送付いただければホームページに掲載いたします(著作権や特許申請で公開日の問題があるものは掲載できな いことをあらかじめご了解ください)。当日のプレゼン資料に関してもご了承いただければ、pdfファイルとしてホームページに掲載させていただきたいと思 います。
その他:
発表内容、発表件数、発表者の時間的な都合 を考慮して、オーガナイザ側で第1部、第2部に振り分けさせていただきます。
申込締切:
3 月10日(金) (締め切りに関わらず,早めに発表申込みいただければ助かります)
申込書内容:
発表者氏名、所属、タイトル、発表概要(200字程度)、連絡先(E-mail, 電話、FAX)
(参考資料のURLを追加いただければワークショップのホームページからリンクを張らせていただきます)
申込先:    
ワークショップ実行委 員会: mechatronics-sewanin@m.aist.go.jp
オーガナイザ(氏名,所属):
藤原基芳、三重県科学技術振興センター
毛利謙作、高知県工業技術センター
阿部顕一、神奈川県産業技術総合研究所
辻善夫、岡山県工業技術センター
濱田敏弘、香川県産業技術センター
稲葉昭夫、岐阜県生産情報技術研究所
神徳徹雄、産業技術総合研究所  
このワークショップは、(社)日本機械学会「ロボティクス・メカトロニクス講演会2006」の一環として開催されます。
公式Webページ http://www.rt-coe.waseda.ac.jp/robomec06/
 

企画運営委員会のディスカッションメモ

●WSに期待する成果
 現場のニーズを掘り出す
 将来の共同研究や競争的研究資金の獲得につなげる

●WSのイメージ
「地域の現場でのニーズや地道な取り組みの紹介」が根底に流れていて、今回の開催は、「オリジナリティのある地域中小企業の紹介、一次産業、地場産業関連 の研究ニーズ紹介」をする.
「地域の農林水産業が抱えるメカトロ技術へのニーズ,対策,問題点 ―本音で語ろう―」
第一部
 話題は何でもありで、どの地方試の方も話題提供に参加して本音話
第二部
 何かトピックスを絞って勉強会的なディスカッション

ニーズ紹介を重視する
失敗例も発表する本音の交流を行う
企業が、ローカルの課題に取り組み、泥臭い話や失敗例、ニッチな成功例を紹介する
技術的な調査テーマを決めて,各県の状況と取り組みを報告

○聴講者
  地域のキラリと光る企業がどんな独自性(アイディア、やり方、製品)を持って伸びているのかを知り、参考にする 
  地域の中小企業が技術開発で生きていくヒントを掴む
  失敗例から学ぶ
  シーズ重視の研究の方向性について再考する
○発表者
  広いネットワークをもつ技術者から課題に対する本音の意見を得て、製品開発に活かす。
 
●方法
 一本釣り
 企業にワークショップの趣旨を理解してくれていることを確認し、製品だけの紹介に留まらず、技術の紹介を促す。
 また、質問時間を長く取り、技術的に困っていることを聞き出す

●関心のある具体的テーマ例
 少子高齢化の深刻な農業のメカトロニクス化への取り組み
 海洋ロボットの取り組み
 新潟県の「雪国の生活を支援する自立運行型除雪ロボットの研究開発」
 石川県の「能登栗の皮むき省力化機器の開発」
 岐阜県の「アグリロボット要素技術の研究」
 新潟県の「逐次張り出し成形」
 福岡県の「金型磨きロボット」
 福井大の「アルミ管溶接」
 など

※他にもこんな特別講演が聞きたいなどの議論がありましたが,具体的な個人名が出てくるので省略いたします.

事前アナウンス

産業技術連携推進会議 機械・金属部会 メカトロニクス研究会  会員各位

ロボティクス・メカトロニクス講演会2006において、地域連携ワークショップの共催を計画しておりますのでご案内いたします。2005年度(6月9日神 戸で開催)は7地方公設試の方々に研究事例(失敗事例??も含む)を発表していただきました。2006年度もふるってご参加をお願いします。

日程:2006年5月26日(金) 時間は未定
場所:早稲田大学理工学部大久保キャンパス
http://www.rt-coe.waseda.ac.jp/robomec06/workshop_j.htm
(地図)http://www.sci.waseda.ac.jp/campus-map/

RoboMec'06 ホームページ
http://www.rt-coe.waseda.ac.jp/robomec06/

昨年度の地域交流ワークショップ:「地域の課題への挑戦」の内容
http://www.pref.kochi.jp/~kougi/research/mechatro/chiiki_WS.html

*****参加を考えていらっしゃる方へ
旅費の確保をお願いします。もし,オフィシャルな文書が必要であればメカトロニクス研究会名で用意いたします.
参加いただける方(特に、発表していただける方)は、早めに藤原( mechatronics-sewanin@m.aist.go.jp )までご連絡をいただけると幸いです。

*****来年度の内容
来年度の内容は未定ですが、現時点での案を以下に記します。ご意見をいただければ幸いです。

(案)現時点では2部構成を考えています。
第1部:技術的な調査テーマを決めて,各県の状況と取り組みを報告するとともに,その分野の専門家を招聘して勉強するようなもの。現在、テーマ募集中で す。運営メンバーからは、「精密作業・微細作業」「メカトロニクスを用いた特殊な材料試験」、「工業技術センター職員が紹介する各県の光っている中小企 業」といったテーマが挙がっています。
第2部:本年度の「地域の課題への挑戦」のように、各県の活動や課題を本音を交えて報告するようなもの(研究の成功事例・失敗事例や、国や地方自治体の産 業振興政策等への賞賛、愚痴、批判も有りです)。運営メンバーからは、「いかに低予算で研究を進めるか」、「外部資金獲得」、「独法化」、「行革への対 応」、といったテーマが挙
がっています。

(第3部??:懇親会。)

*****募集中
第1部のテーマを募集中です。何か「他都道府県はどうしているのか?」とか、「こんな事をみんなで討論したい、勉強したい」というテーマがありましたら、 藤原( mechatronics-sewanin@m.aist.go.jp )までお知らせ下さい。

もう一つ、ワークショップの運営ボランティア募集中です。本ワークショップをより有意義なもの、楽しいものにするために、議論しましょう(主にメールのや りとりになると思います)。

現時点での運営メンバーは、以下の7名です。
三重県 科学技術振興センター 藤原基芳
高知県 工業技術センター   毛利謙作
神奈川県 産業技術総合研究所 阿部顕一
岡山県 工業技術センター 辻善夫
香川県 産業技術センター 濱田敏弘
岐阜県 生産情報技術研究所 稲葉昭夫
産総研 知能システム研究部門 神徳徹雄

 以上です。よろしくお願いします。
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三重県科学技術振興センター
 工業研究部金属研究室研究グループ
  主任研究員 藤原 基芳

© Copyright 2006 メカトロニクス 研究会